プレスリリース
ZF ステア・バイ・ワイヤ:車両運動性能の新たなイノベーション
- 俊敏性・安定性・コネクティビティのさらなる向上:次世代のステアリングシステムの基礎となるステア・バイ・ワイヤ技術
- メルセデス・ベンツに2026年よりステア・バイ・ワイヤ技術を供給開始
- ZF EasyTurn:ピープルムーバーや配送車両の操作性を劇的に改善
SDV車両において、ステア・バイ・ワイヤ(SbW)技術は正確な操作、安定性と安全性の向上、最適な応答性を可能にするため、ソフトウェア制御、運転支援、電動化といった機能を持つ車両において最適な選択肢となります。
ZFはこの変革で最前線に位置しています。その代表例が中国初の本格的なステア・バイ・ワイヤ搭載量産車となったNIOのフラッグシップEV「ET9」です。さらにメルセデス・ベンツからも新たな受注を獲得しており、2026年には欧州初のステア・バイ・ワイヤ量産車が誕生する予定です。ZFシャシーソリューション事業部 研究開発責任者 フィリップ・ガスニエは次のように述べています。
「当社ステアリングシステムの専門知識により、世界中の自動車メーカーが車両の運動性能を最大限に引き出せるよう支援しています。この技術により、当社は未来を定義するテクノロジー実現に対し理想的なパートナーとしての地位を確立しています。」
ステア・バイ・ワイヤ:先進的な運動性能と自動走行を支えるキーテクノロジー
従来ステアリングシステムとは異なり、ステア・バイ・ワイヤはステアリングホイールとステアリングギアの接続を排除しています。タイヤはタイヤ間に配置されたアクチュエーターによって操舵される一方、ドライバー操作はコックピット内のステアリングホイールアクチュエーターで検知されます。
ステアリングホイールに内蔵された小型モーター「トルクフィードバックユニット」が自然な操作感と路面反力を再現します。安全性を考慮して冗長性を確保ZFシステムは、走行速度や条件に応じてステアリングギヤ比を最適化します。低速走行時は俊敏性を高めるクイックなギヤ比、高速走行時は安定性と快適性を重視したスローなギヤ比に設定しています。
ドライバーはその違いを直ちに体感できるため、自動車メーカーにとっても大きな訴求点となりえます。ZFのステア・バイ・ワイヤは、正確で快適かつ安全な操作性を提供し、優れた応答性と卓越した動的性能を実現します。さらに、コックピットやインテリアを自由にデザイン可能にし、折り畳み式ステアリングホイールなども可能にすることで乗る人に快適な空間を提供します。中間ステアリングシャフトが不要となることで、部品レイアウトの自由度が向上し、右ハンドル/左ハンドル車など異なる市場でも容易に適応が可能になります。また騒音低減や安全対策機能の向上にも寄与することができます。
さらにステア・バイ・ワイヤ技術は、最先端の運転支援システムに不可欠な基盤を提供します。従来の機械的接続ステアリングがレベル3までのADASをサポートするのに対し、ステア・バイ・ワイヤはレベル4以降の自動運転機能までサポート可能にします。将来的な自動緊急回避操舵(AES)などのアクティブセーフティ機能にも対応します。
単一構造で優れた拡張性:ソフトウェアアルゴリズムで実現
ステア・バイ・ワイヤのもう一つの大きな利点は、ステアリングフィールおよび運動性能をすべてソフトウェアで制御・調整できる点にあります。これにより、自動車メーカーはソフトウェアだけでブランド独自のドライビングフィールを表現することが可能になります。これによりモデルや仕様ごとに異なるステアリング機構を設計する必要がなくなり、生産の柔軟性が高まるとともにコスト効率も向上します。またシャシーのキャリブレーションが簡素化され、開発や組立の時間短縮にもつながります。さらにコックピットでは、多様なドライビングモードを自由に選択できるようになり、ドライバーは走行状況に応じてより的確な操作を行えるようになります。
「Twin Worm」ユニットによるコンパクトかつ優れた操舵感
運転とはドライバー・車両・路面との相互左右です。そのため、ステアリングを通して感じるフィードバックは安全性と運転の楽しさの両方に非常に重要です。ZFが開発した特許技術「Twin Worm」を搭載したトルクフィードバックユニットは、優れた精度の操舵フィードバックをコンパクトな設計で実現し、同クラス最高水準のトルク対サイズ比を誇ります。
ZFのTwin Wormユニットは独立制御された2つのウォームギヤを連動させ、ドライバーに精度の高い操舵フィードバックを提供します。この設計はシステム冗長性を確保するだけでなく、極めて高精度な制御を可能にします。ZFステア・バイ・ワイヤ製品グループ責任者 ステファン・カッサールは次のように述べています。
「このメカトロニクスシステムと専用の制御ソフトウェアにより、ギアのバックラッシュを完全にかつ精度よく取り除くことができます。」
ステアリングシステムにおけるフリクションやバックラッシュは、ドライビングフィールの快適性を大きく左右する要素です。ZFのTwin Wormシステムでは、これらを複雑な機械構造や追加部品(スプリングやダンパーなど)で再現するのではなく、先進的なソフトウェア制御で一括管理します。カッサールは続けます。
「Twin Wormコンセプトによって、これらを実現することが格段に容易になりました。」
この構造によりステアリングギヤ比および最大操舵角を広範囲に調整することが可能で、最大操舵角は180~210度まで減少可能です。全く新しいフラットなステアリングホイールデザインも実現でき、従来必要だった「操舵時の手の持ち替え」も不要となります。さらに、本システムは機能安全最高レベルであるASIL-Dに準拠しており、レベル4以降の自動運転機能にも対応しています。
EasyTurn:前輪操舵による卓越した小回り性能
ZFはステア・バイ・ワイヤ技術の知見を活かし、EasyTurnストラット式フロントアクスルを大幅に進化させました。EasyTurnでは前輪の最大操舵角を従来の40度から80度へ倍増し、ミドルサイズ車の最小回転半径を10メートル超から7メートル未満まで低減します。
ステア・バイ・ワイヤにより、これら操作は非常にスムーズかつ快適に行えます。ZFのEasyTurnプロジェクトマネージャー、ペーター・コンターマンは次のように説明しています。
「機械的操舵機構に依存していた頃は、必要な操舵角には物理的な限界がありました。しかしステア・バイ・ワイヤではその制約がなくなり、わずかなステアリング操作で狭い空間でも自在に操作が可能です。」
ZFのシステムは可変ステアリング比を備えており、駐車や小回り時には最大限の俊敏性を発揮する一方。通常走行時には正確な操舵性を提供します。EasyTurnは都市型コンパクトカーや配送車両、都市部でのピープルムーバーに最適です。さらに後輪操舵システム「AKC」と組み合わせることで、全長の長いセダンやクロスオーバー車でも驚くほどの小回り性能を発揮します。