車両の乗り心地とハンドリング特性は主にシャシによって決定されます。ホイールガイダンス、ダンピング、サスペンション、ステアリング、ブレーキが車両の特性を定義しますが、これらシステムの電動化とソフトウェア制御へのトレンドは加速し続けています。

ZFのビークル・モーション・コントロール・システムハウスの責任者であるアンドレ・エンゲルケは次のように述べています。「自動および自律運転の安全性と快適性の両方を向上させるには、洗練されたドライビングダイナミクスが不可欠です。今日のお客様は、統合されたシャシセンサーやその他の車両システムから多くのセンシングを必要とする幅広いテクノロジーの中から選択しています。冗長回路を含む洗練されたシステムの膨大な要件を満たすには、より強力なコンピューティング・ソリューションが必要です」。

続けてエンゲルケは次のように強調します。「これが、現在最も柔軟で拡張性が高く、パワフルな高性能シャシ・ドメイン・コンピューター『VMDコントローラー』を開発した理由です」。

この高性能コントローラーは、車両制御やパワーマネジメントなど、さまざまな車両機能を統合するように設計されており、1つのコントローラーでインテリジェントに車両の挙動を制御することで複雑さを軽減しながら、スタンドアローンの機能をサポートします。VMDコントローラーは、55,000 DMIPSという高性能なリアルタイム機能とアプリケーションでSDVに対応します。

またZFは、モビリティ領域のお客様のニーズに応じて調整可能なオープンシステムに重点を置いています。より高いレベルで自動化するため、高性能VMDコントローラーをADAS および自動運転アプリケーション用の高性能コンピューティング・プラットフォーム「ProAI」にも接続できます。

エンゲルケは次のように述べます。「新しVMDコントローラーの設計とアーキテクチャは、オープンかつモジュールのアプローチに基づいています。ZF独自のアプリケーションやソフトウェアだけでなく、他の開発者やサードパーティサプライヤーのものも使用可能です」。

ダイナミックな未来のために設計された高性能スーパーコンピューター

インテリジェントな未来の車両は、VMDやProAIコントローラーといったの非常にパワフルな少数のコンピューターによって制御されると考えます。これらは、主要な車両ドメインを制御し、自動運転、電動化、車両制御、および統合安全を実現する計算量の多いソフトウェア機能を実行します。高性能コンピューターとインテリジェントなソフトウェア機能は、将来のSDVのイネーブラーであり、現代の消費者に安全でスマートなモビリティ体験をもたらします。

ZFは ProAIスーパーコンピューターの最新世代を発表しました。これは世界で最も柔軟で拡張性が高く、かつパワフルな車載スーパーコンピューターです。この新しい ProAIは処理能力が66％増加したため、消費電力は70％減少しました。新しいE/E車両アーキテクチャの中核は、セントラル、ドメインおよびゾーン・コントローラーとして使用可能な高性能コンピューターです。

ZFの自動運転モビリティシステムのエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントであるトーステン・ゴレウスキーは次のように説明します。「当社のProAIは、あらゆる車種、自動運転のすべてのレベルで想定される幅広いアプリケーション分野をカバーするように設計されています。そして、VMDといった新しい専用コントローラーを追加し、次世代のモビリティを向上させる新しい車両アーキテクチャや先進機能の要件を満たすことで、業界のニーズに対応します」。